乳がん治療の外科療法とは外科手術のことで切除範囲により5段階に分かれています。
@腫瘍核手術
乳房のしこりだけを切除する手術のことで、癌から約1p外側を切除します。
しかし、この手術はどちらかというと診断目的で行われるもので、生検などにより診断がつかない場合に行うことが多く、癌の手術としては一般的ではありません。
A乳房部分切除術
しこりを中心にその周囲約2pの正常な乳腺も含めて切除します。
今の述べた@とAが乳房温存手術というこになります。
B乳房単純切除術
乳房は全て切除するが、筋肉、リンパ節は温存することをいいます。
外科手術で大切なことはもちろん癌である病変部分をとりきるということになりますが、癌は増殖し転移をします。乳がんと診断された時点でその癌の進行と広がり具合がどの程度で転移は見られるのかということが非常に重要になってきます。
通常乳房の切除と同時に脇の下の脂肪組織も切除しますが、これを腋窩リンパ節廓清(えきかリンパ節かくせい)といいます。 これは癌の転移を防ぐため、癌自体とその癌が転移しているであろうことを考慮し脇の下のリンパ節も切除するものですが、切除するかどうかはその癌の広がり具合や癌の進行具合によって決定します。
この乳房単純切除術ではこの脇の下のリンパ節の切除は行わないということになります。
C胸筋温存乳房切除術
この手術には2つあり、ひとつはオーチンクロス手術、もうひとつはペイティー手術です。
・オーチンクロス手術・・・大胸筋、小胸筋共に残し、リンパ節郭清は行う手術です。
・ペイティー手術・・・大胸筋だけを残し、リンパ節郭清は行う手術です。
Dハルステッド手術
最初に述べた手術法で、乳房、筋肉、腋窩(えきか)リンパ節(脇の下のリンパ節)全てを切除します。
以上5つが外科手術ですが、リンパ節の郭清を行うかどうかは非常に重要になってきます。
リンパ節郭清を行った後遺症として手術した後に腕のむくみ、腕の感覚障害、腕の痛みなどを訴えることがあります。
このような後遺症に悩まされることがないようにリンパ節の郭清を行うかどうかは重要です。
そこで不要な郭清を減らし患者さんが後遺症で苦しまないためにセンチネルリンパ節生検が登場しました。