薬物療法には化学療法とホルモン療法、そして新しい治療法の分子標的療法の3つに分けられます。
そして薬物療法が行われる場合も3つのケースで行います。そのケースは@手術前化学療法A手術後療法B手術ができない場合の乳がん治療です。
まずはそれぞれの治療法の内容と特徴です。
化学療法
抗がん剤治療のことです。癌細胞に直接働き癌を死滅させる効果があります。
抗がん剤の種類も何種類もあり一回に複数の抗がん剤を投与することもあります。注射で投与するタイプと内服するタイプがあります。
全身療法のため正常である細胞にも作用してしまうため抗がん剤治療は副作用が患者に大きな負担となってしまうこともありますので事前に医師と相談し、副作用の内容・投与法を理解することが必要でしょう。
ホルモン療法
乳がんは女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の働きにより活発に動きまわることがわかっています。
つまり女性ホルモンなくしては乳がんは元気に動きまわれないというわけです。(全ての乳がんがそうなわけではありませんが、約7割がそうであると結果があるそうです)
そこでこの女性ホルモンの供給をなんとか阻害して癌の活発な動きを止めようというのがホルモン療法です。
そのためには乳がんが女性ホルモンの影響を受けているのかどうかを知る必要があります。もし女性ホルモンの影響を受けやすい癌だということがわかればホルモン療法の効果を期待できるということになります。
このように女性ホルモンの影響を受けやすい乳がんのことをホルモン感受性乳がん又はホルモン依存性乳がんと呼びます。
ホルモン剤としては抗エストロゲン剤(タキモシフェン)やアロマターゼ阻害剤などがよく知られています。ホルモン療法は化学療法に比べ副作用が少ないが特徴です。
分子標的療法(ハーセプチン)
比較的新しい画期的な治療法です。全乳がんのうち20%〜30%程の乳がん細胞は癌の表面にHER2というたんぱく質を持っています。
このたんぱく質は乳がんの増殖に関係しており癌の活性化に大きく関与しています。この治療法はそのたんぱく質に直接働きかけ、そのたんぱく質を分子レベルで狙い撃ちししようという試みです。
癌を死滅させるというよりも癌の再発・進行を遅くさせる効果を期待できます。しかし、HER2を持っている乳がんのみにしか効果を期待できません。